貨物利用運送事業の「一種と二種の違い」について解説!
貨物利用運送事業は自身で運送手段(トラック等)を持たずに運送を請け負うことができ、少ない資本で開業できるということで個人事業や小規模な法人で取り入れる事業者も増えています。
この貨物利用運送事業には「第一種利用運送」と「第二種利用運送」の2種類がありますが、その判断が実にややこしいのです。
この違いを理解せず誤った知識で申請を行ってしまい、本当は二種が必要なのに一種で登録を受け、気付かずに営業してしまっていた。といった場合は無許可営業に該当し違法行為となってしまいます。
逆に、本当は二種は必要なかったという場合は費用や手間が余計にかかってしまい非常に勿体ないですよね。これらのリスクを回避するためには、ご自身が申請前に「違い」をしっかりと認識し、自社の事業計画と照らし合わせる必要があります。
この記事では「貨物利用運送事業の一種と二種の違い」について解説していきますので、「自社がどちらに該当するかわからない…」「違いを理解してどちらのやるのか知りたい」と言った方は是非最後までお付き合いください!
↓「利用運送の概要」はこちらの記事で解説していますのでご覧ください↓
そもそも貨物利用運送事業とは?
貨物利用運送事業の定義は「自らの運送機関を利用し運送を行う者(実運送事業者)の行う運送を利用して貨物を運送することを行う事業」とされています。
すこしわかりにくいのですが、要するに荷主から預かった荷物を運送事業者に運んでもらう業態であり、利用運送事業者自身は輸送手段を持つ必要がないのです。ここが運送業許可と比較して開業時に必要となる資金を大幅に抑える事ができる理由の1つといえます。
開業資金も抑えることが出来て輸送は運送事業者に任せることが出来るなんてメリットばかりだと感じられるかもしれませんが、利用運送事業を行う際は「荷主に対し運送責任を負うのは利用運送事業者である」という点に十分注意が必要です。
あくまで荷主は利用運送事業者と荷の輸送契約を結んでいるだけであって、勿論その後のことは利用運送事業者の責任で行われるのです。
実際に利用運送事業を続けていれば事故などで荷がダメになってしまうこともあるでしょう。
そんなときの為に実運送事業者と利用運送契約を結ぶ際に利用運送契約書を交わし責任や賠償の範囲などを明文化する等、後々面倒なトラブルに発展しないように十分工夫が必要です。
第一種は「登録」第二種は「許可」
・第一種は「登録」を受けることで事業を行うことが出来る
第一種利用運送を行うためには運輸支局へ登録申請書を提出し登録を受ける必要があります。
注意点として、運輸支局へ申請を行ってから登録を受けるまで標準的には2~3か月とされていますが、実際に申請してから登録されるまでの期間は3か月程度と認識しておいてください。
理由としまして、利用運送事業は登録を受けて名簿に登録されない限り事業を行えないので、登録までの期間を短めに見積もってしまうと人件費や賃料など、無駄な費用がかかってしまう恐れがあるからです。
・第二種は「許可」を受けることで事業を行うことが出来る
ここではその違いについて詳しく触れませんが、許可のほうが大変くらいの認識で結構です。
行政が設定している標準処理期間は3~4か月とされていますが、こちらも申請から4か月程度はかかるという認識をしていただければと思います。
どちらに該当するのか判断する方法
一種と二種のどちらに該当するのか判断する方法について、さっそく結論をいいます。
第二種貨物利用運送事業以外は第一種貨物利用運送事業です。
この根拠は貨物利用運送事業法 第二条7項にあります。
この法律において「第一種貨物利用運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、利用運送を行う事業であって、第二種貨物利用運送事業以外のものをいう。
シンプルな内容でわかりやすいですね。
このことからどうすれば第二種に該当するのかを理解しておけば、それ以外は第一種だと自分の中に根拠を持てる。と言えるでしょう。
まずはそれを頭に入れて頂き、次は早速「どうすれば第二種に該当するのか」をみていきます。
どうすれば第二種に該当するのか
二種に該当するかどうかは2つのワードの両方に当てはまるかどうかで決まります。
そのワードが「複数の運送モード」と「Door to Door」です。これだけ聞いてもイメージが湧かないと思うので以下で解説していきます。
複数の運送モード
貨物利用運送事業はトラックなどを利用した「自動車」以外にも「鉄道」「海運」「空輸」といった幹線輸送と呼ばれる運送方法を選択することが出来ます。
利用運送の大多数が自動車の利用ですが、仮に内航海運(フェリーによる輸送)を使った運送方法を実現したい場合は海運モードも利用運送の事業計画に追加する必要があります。そして今回の自動車モードと海運を組み合わせた運送の場合だと複数の運送モードを利用しているため、この項目に該当しているといえます。
第一種利用運送は一つの運送モードしか行えないと思われがちですが、変更登録を行うことにより他のモードを追加することも可能です。
次に解説するDoor to Doorに該当する場合は第二種利用運送許可を取得する必要がありますが、該当しない場合は複数モードを利用し第一種として事業を行うことが出来ます。
Door to Door
このDoor to Doorは「荷主から受けた輸送依頼について一貫輸送を行うこと」と言い換えることが出来ます。
仮にこの図の通りに手配した場合、荷主が指定した出発地から終着地まで一貫した輸送を提供しているためDoor toDoorに該当しているといえます。
先ほどのトラックとフェリーを使用した輸送の例でいくと、
トラックで依頼品を集荷し港まで運び、フェリーで目的地付近の港まで運び、その港から目的地まで配送する。
ここまで行って初めてDoor to Door となります。
例外
これらの例外として「軽貨物運送事業者」を利用した輸送があります。
上の画像では、集荷をトラックで行い港まで、船で目的地付近の港までというのは先ほどと同様となっています。ですが先ほどと違うのは最後の港から終着地までの区間は軽貨物運送事業者が行っているというところです。
実をいいますと、軽貨物事業者は利用運送事業法の規制を受けないため、出発地から終着地まで一貫輸送を実際におこなったとしても軽貨物運送事業者が入っていた場合は一貫輸送が法律上では成立しないのです。
貨物利用運送事業法第二条8項
この法律において「第二種貨物利用運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、船舶運航事業者、航空運送事業者又は鉄道運送事業者の行う運送に係る利用運送と当該利用運送に先行し及び後続する当該利用運送に係る貨物の集貨及び配達のためにする自動車(道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第二項の自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車を除く。)をいう。以下同じ。)による運送(貨物自動車運送事業者の行う運送に係る利用運送を含む。以下「貨物の集配」という。)とを一貫して行う事業をいう。
ですので、このケースの場合一貫輸送を受け持ってはいますが、法律上では成立せず第二種利用運送の許可取得は必要ないのです。(もちろん自動車と海運については第一種利用運送の登録が必要です。)
この部分についてはなかなか難しい内容ですので、第一種登録や第二種許可取得を考えている事業者様は是非一度ご相談いただければと思います。
まとめ
以上、「第一種と第二種利用運送事業のちがい」について解説していきましたがいかがだったでしょうか?
今回の内容は法律的な内容も絡んでいましたので多少難しい内容であったかとおもいます。
運送業界は各種法令が複雑に絡み合っており、本業で忙しい事業者様がコンプライアンスの徹底を行うことは困難であるというのが実情です。
そこでオススメなのが行政書士の利用です。
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・事業者様が本業に専念して頂くことにより利益を上げることが出来る
・事業者様の勉強時間や手間を削減し、かつ確実な手続きを実現
・コンプライアンスについてサポートを受けることで事業の安定的かつ持続的な発展を目指すことが出来る
・顧問契約を結ぶことで困りごとについてのアドバイスや相談を受けることが出来る
など、運送事業者様にとって様々なメリットがあります。
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