【貨物】IT点呼と遠隔点呼 違いは? それぞれ解説
こんな方にオススメ!
「IT点呼と遠隔点呼、似ているけど結局何が違うの?」
「導入を検討しているけど、うちにはどちらが向いているんだろう?」
「どの事業者でも導入可能ってほんとう?」
2024年問題対策の一環として「IT点呼」は採用できる範囲が拡大し、「遠隔点呼」は制度自体が新しく制定されました。
この2つの点呼方法はそれぞれ、車庫からの点呼など、離れた場所で点呼を行うことが出来るという一番の特徴を共通して持っているので混同されがちです。
これらの点呼方法ついて理解が深まれば、自社で導入可能か、導入する場合はどちらが適切かを自身で判断することが可能になります。
そして導入した場合は「労働環境改善」や「業務効率の改善」「組織風土醸成」に寄与してくれることでしょう。
このページではIT点呼と遠隔点呼の違いついて解説していきますので、是非最後までご覧になってください!
それぞれの解説
IT点呼
導入可能か
IT点呼導入を導入可能な事業者はどちらかに該当する事業者のみです。
・Gマーク認定事業所
・Gマーク認定事業所以外で下の4つの条件のいずれにも該当する場合
1.運輸開始後3年を経過している
2.過去3年間に第一当事者となる自動車事故報告規則に掲げる事故*を起こしていないこと
*車両転覆や転落、10台以上の衝突事故、酒気帯び運転などの「事故報告」が必要な重い事故
3.過去3年間に点呼実施違反に係わる行政処分を受けていないこと
4.巡回指導結果がD.E以外であり、点呼に係わる指摘がない又は点呼に係わる改善報告が3か月以内に提出、改善されていること
実はこのIT点呼、制度ができて以来しばらくGマーク認定事業者のみ行うことが認められていたのですが、昨今の人手不足問題に対抗する手段として条件付きですが認定事業者以外でも認められるようになりました。
どこで点呼できるのか
Gマーク認定事業所の場合
・営業所とその車庫間
・車庫と他の車庫間
・営業所と他の営業所間(他の営業所もGマーク認定を受けている必要有!)
・営業所と他の営業所の車庫間
・株式100%保有している親会社と子会社または子会社同士
Gマーク認定事業所ではないが条件をクリアしている場合
・営業所とその車庫間
・営業所車庫と当該営業所の他の車庫間
IT点呼導入のハードル
一定の条件が定められているため
いまの状況では導入できない…という事業主様も一定数いらっしゃるかと思います。
その場合は条件を満たせるまで待つしか方法がないのですが、すでに条件を満たせている事業者様にとって
・他営業所のドライバーも点呼可能で、運行管理者を減らすことができるため人件費を抑えられる(Gマーク事業者)
・後述する遠隔点呼よりコストが低い
などを理由として導入を検討する価値は十分にあるかと思います。
というのもIT点呼導入の一番のハードルがこの条件を満たすことだからです。
導入費用が気になる場合は、IT導入補助金の利用や定期的に国土交通省が行っている事故防止対策支援推進事業内の補助金制度なども用意されていますのでタイミングや必要に応じ活用を検討してみてもいいかもしれません。
弊所は補助金の申請もサポートを行っております。
貴社に適切な補助金の選定、申請のサポートを行いますのでお気軽にご相談ください。
遠隔点呼
導入可能か
遠隔点呼はIT点呼と違い、全ての事業者が導入することが出来ます。
どこでできるのか
IT点呼Gマーク認定事業者と同様
・営業所とその車庫間
・車庫と他の車庫間
・営業所と他の営業所間(他の営業所もGマーク認定を受けている必要有!)
・営業所と他の営業所の車庫間
・株式100%保有している親会社と子会社または子会社同士
遠隔点呼導入のハードル
遠隔点呼はIT点呼と違いすべての事業者が活用することができますが、その代わりに導入時に求められる機器や設備等の要件が厳しくなっています。
IT点呼可能な事業者は経営歴や処分などについて導入時にある程度の条件が求められ、事業者としての優良性が担保されていますが、遠隔点呼にはそれらの制約がないので仕方ないのかもしれません。
導入の要件
システム
・生体認証装置の設置が必須(パスワード入力などで代替することはできません)
・機器故障履歴の記録など
施設
・点呼する場所の照度について運転者の顔とカメラの間の照度は500ルクス程度が推奨されている
・点呼用のカメラと別に監視カメラの設置が義務(全身が写る必要あり)
・点呼が途絶えないような通信環境の整備
運用上の遵守事項
・面識のないドライバーとは事前に一度オンライでの面談をする必要がある
・グループ企業間での点呼で個人情報を扱う場合互いの同意が必要 など
これらの要件を越えて導入する必要があるので、遠隔点呼導入はIT点呼よりもコストがかかります。
更に遠隔点呼導入の際は現地確認も行われますので、書面上だけではなく、実態として環境整備されている必要があるという点にも注意して頂きたいと思います。
ケース別おすすめ
結局どっちがいいのか気になるかと思いますが状況により導入が出来ないこともあるので、ケース別のオススメを簡単にまとめてみました。
・Gマーク認定を受けている営業所
スピーディかつコストも低いIT点呼がオススメです。
・Gマーク認定されていないが条件を満たしている営業所
営業所が1つだけで増える予定もない→IT点呼
複数営業所を所有→遠隔点呼
・どちらにも当てはまらない
全ての営業所が導入可能な遠隔点呼を是非!
まとめ
以上、IT点呼と遠隔点呼の違いについて解説していきましたがいかがでしたでしょうか?
不名誉なことに運送業界はDX化が遅れているとよく言われています。
そして、資料を見て頂ければわかる通り、実際に令和3年時点の調査でDX化へ取り組んでいる運輸事業者は約18%と「DX化が遅れている」ことがわかります。
(出典:総務省 情報通信白書 企業活動におけるデジタル・トランスフォーメーションの現状と課題)
しかし、遅れているということも事業者単位では悪いことばかりではありません。
「いままでこうやってきたから…」「どうせ使いこなせないよ…」とみんなが言っているうちに自社でDX化を進めることができれば、それこそ周囲と大きく差をつけるチャンスとなります。
「これから労務改善を頑張っていきたい!」「コスト削減で持続可能な経営を目指していきたい!」「新たなシステム導入により業務改善、付加価値創造をしていきたい!」など意欲を持った事業者様はDX化の一環として是非IT点呼や遠隔点呼の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
弊所ではIT点呼や遠隔点呼の導入を検討している事業者様向けに補助金の提案や申請サポートも行っています。導入を検討している、気になっている事業者様は一度ご相談ください。
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