【貨物】営業所、車庫を契約する前に絶対知っておくべき「関係法令」解説!
こんな方にオススメ!
「運送業起業を目指しているけど、営業所選びで予め気を付けるべきポイントを知っておきたい」
「不動産選びでつまづきたくない…」
「所持している土地をどうにか利用できないか?対策方法を知りたい…」
「運送業起業を目指していて不動産を探しているが関係法令の要件が複雑すぎてよくわからない…」
「または、すでに経営していて事業拡大を考えているがどのような場所なら認可がありるのかわからない…」
という方はいらっしゃいませんか?
運送業を始める際や事業拡大の際に多く関係してくるのが不動産であり、比較的契約の規模が大きいものが多く一度躓くと大量の時間や費用を無駄にしてしまう可能性がある為慎重に進めていくべきポイントの1つです。
そんな不動産選びの際に、特に注意しておきたいのが「農地法、都市計画法、建築基準法 等関係法令に抵触しないものであること」というという要件です。
この要件は非常に重要なのですが、それを実際に確認しようとした場合、専門性が高く、さらに各不動産の状況や所属する自治体によっても取り扱いが変わる場合があり、一概にこうだと言い切れない場合が多い分野です。
この要件について深入りすると、それこそ時間が無駄になってしまう可能性があります。
ですので、この記事では「営業所や車庫選びの際に関係する法令」について最低限知っておきたい関係法令についての知識や躓いてしまった場合の対処法について簡潔にまとめました。
是非最後までお付き合いください!
目次
営業所や車庫が関係法令に抵触していたらどうなってしまうのか?
各種法令について解説する前に
まず営業所や車庫が関係法令に抵触していた場合どうなってしまうのか?について軽く説明します。
過去には「使用している物件が各種関係法令に抵触してるということが判明した場合、どうなってしまうのか?」を理解していない事業者様が、良さそうな物件があった!と契約を急ぎ、無駄なコストや時間をかけてしまうケースが沢山存在しているからです。
そもそも使用する物件が法令に適合していなければ行政は許可を出してくれない。というのは皆さん容易に想像がつくかと思います。
ですが、実は運輸支局は全ての関係法令について各役所に照会をかけて裏を取るようなことはしていないのです。(もちろん照会をかける法令もあります)
ですので運輸支局が照会を行わない法令に対しては、仮に抵触があったとしても申請が通ってしまう可能性が存在し、そういったケースが実際に存在します。そしてそれは決して喜ばしいことではありません。仮に申請が通ったとしても監査など、判明する機会はいずれ訪れてしまうからです。
その場合、現状回復や立ち退きを要求され移転を余儀なくされる等、後々悲惨な目にあいます。
たまに「不動産屋さんが大丈夫だと言っていたから」「前に運送会社が入っていたから」という方もいらっしゃいますが、正直言ってそれだけを頼りに契約をしてしまうことはリスクが高いです。昔と今では審査基準も違いますし、不動産屋は無数の物件を取り扱っていますが運送業の営業所利用目的という案件自体母数が少ないので知識をつけたり、経験を積む機会自体が少ないからです。
ではどうすればいいのかというとシンプルに「自身が知識を持ち、利用できる根拠と証拠を用意しておく」こと「行政書士などの専門家に任せること」の2通りの対策があります。
時間や手間はかかるが費用を抑えたい方は前者、費用をかけても時間や手間を削減したいという方は後者を選択することをおススメします。
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営業所や車庫の関係法令
都市計画法
目的
都市計画法は「都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与すること」を目的とした法律です。
これでは運送業で利用する不動産と、どのように関係があるのかわかりづらいので、今回は都市計画法について最低限抑えるべきところだけ掘り下げて解説していきます。
市街化区域と市街化調整区域
自治体の管轄している土地には「都市計画区域」「準都市計画区域」「都市計画区域外」の3種類が存在し、「都市計画区域」の中には、「市街化区域」と「市街化調整区域」が存在します。(簡略化の為非線引き区域についての解説は今回割愛させていただきます)
都市計画法
(区域区分)
第七条 都市計画区域について無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要が あるときは、都市計画に、市街化区域と市街化調整区域との区分(以下「区域区分」と いう。)を定めることができる。ただし、次に掲げる都市計画区域については、区域区分 を定めるものとする。
2 市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ 計画的に市街化を図るべき区域とする。
3 市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする。
結論から申しますと「原則、市街化調整区域にある建物を営業所として利用することはできません。」
車庫の場合は「屋根や建物を設けていなければ利用可能です。」
上記の通り、市街化区域は計画的に市街化を図り、開発をどんどん進めていこうと都道府県が定めた地域のことであり、後述する用途地域の規制を受けない範囲であれば基本的にどこでも建物を建てることが出来ます。それとは反対に市街化調整区域は開発を抑制する地域として定められており、原則建物を建てることはできません。
利益のみに囚われない都市の健全な発展を目指す。自然や農地等を守る。などの理由から、無秩序に町が開発されていくのを抑制する必要があるからです。
ですので、市街化を抑制する特性を持つ市街化調整区域内に建物を勝手に建てることは原則許されず、また市街化調整区域内に建てられた建物を原則事務所として利用することもできません。
まずは検討している営業所が市街化調整区域内に建築された建物でないかどうか、車庫が市街化調整区域内であった場合は屋根や建物がついていないかを必ず確認しましょう。
トレーラーハウスの利用
もし仮に市街化調整区域に該当していた場合、諸条件はありますがトレーラーハウスを利用することで営業所として認められる場合があります。賃料が安いなどの理由で市街化調整区域内に営業所を設けたいとお考えの場合は、一度検討してみてもいいでしょう。(取り扱いは各自治体によって異なるので要確認)
用途地域
「用途地域」とは先述した市街化区域内に定められているもので、開発を進める市街化区域の中でも建築物について一定の規制をかけ、住みやすい地域づくりを目指しているものです。
たとえば、住宅街に大きな工場が出来て騒音が出たり、高層ビルがどんどんと出来ていって日当たりや景観が悪くなってしまったら?とても住みやすい街にはならなそうですよね。
そのような状況を未然に防ぐため用途地域は定められています。
用途地域は13種類存在し、用途地域が割り当てられた土地はその用途の範囲内でしか建築物を建てたり、既存の建物を利用することができません。
これは運送業の事務所でも例外ではなく、用途地域に反して新しく大きな営業所を建てたり、既存の建物を利用する場合でも用途地域の規制で事務所利用が出来ない場合はそこを営業所として使用することが出来ません。(屋根がある車庫も同様)
以下の13種類が用途地域として定められています。
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 第一種中高層住居専用地域
- 第二種中高層住居専用地域
- 第一種住居地域
- 第二種住居地域
- 準住居地域
- 田園住居地域
- 近隣商業地域
- 商業地域
- 準工業地域
- 工業地域
- 工業専用地域
これらのうち、営業所として利用できないものを以下にまとめてみました。
用途地域 | 営業所するための条件 |
---|---|
第一種低層住居専用地域 | ①住宅と兼用➁床面積二分の一以上を住宅利用➂50㎡以下 |
第二種低層住居専用地域 | ①住宅と兼用➁床面積二分の一以上を住宅利用➂50㎡以下 |
第一種中高層住居専用地域 | ①住宅と兼用➁床面積二分の一以上を住宅利用➂50㎡以下 |
第二種中高層住居専用地域 | ①2階以下➁床面積が1,500㎡を超えない |
第一種住居地域 | 床面積が3,000㎡を超えない |
田園住居地域 | 事務所利用不可 |
上の表を参照すれば注意すべき用途地域について理解することが出来ます。
ですが、予定している不動産がどの用途地域に該当するのかわからなければ意味がありませんので調べ方について解説します。
各自治体のホームページで確認する方法やブラウザの検索欄に住所+用途地域を打ち込み検索で調べる方法があるのでどちらかお好きな方で調べてみてください。
調べた先では地図が表示されており、各用途地域が色でわけられていますので、そこで予定している不動産がどのような用途地域に指定されているか確認することが出来ます。気になる方は是非一度確認してみてください。
建築基準法
目的
建築基準法の第1条に目的条文が置かれています。
第一条 この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。
想像がつくと思いますが建物の環境や構造、設備などによっては生命、財産に危険が生じかねず、これらを予防するために建築基準法は施工されました。
建築物を建てる前には必ずその予定されている建物について建築確認申請を行い、確認済証の交付を受ける必要があります。
建築基準法に適合しているか確認する
使用する建物が建築基準法に抵触していないかを確認するために
・建築確認済証
・検査済証
の2点を主に使用していきます。
これらはそれぞれ、建設予定の建築物が建築基準法に則ったものであるか確認し、その通りにちゃんと建築されたかを確認するものですが、これらを確認することにより少なくとも建設した当時は建築基準法に抵触していなかった証明となります。
そしてこれはコンテナハウスを営業所として利用したい場合も同様です。
コンテナハウスは独立した完成品であるがゆえに、基礎工事を行う必要がないと思われがちですが、こちらも同じく基礎工事を行い、建築確認を受ける必要があります。
農地法
目的
第一条 この法律は、国内の農業生産の基盤である農地が現在及び将来における国民のための限られた資源であり、かつ、地域における貴重な資源であることにかんがみ、耕作者自らによる農地の所有が果たしてきている重要な役割も踏まえつつ、農地を農地以外のものにすることを規制するとともに、農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮した農地についての権利の取得を促進し、及び農地の利用関係を調整し、並びに農地の農業上の利用を確保するための措置を講ずることにより、耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、もつて国民に対する食料の安定供給の確保に資することを目的とする。
少し長いですが、要は、国民の大切な食糧を作る農地をみだりに減少させないように農地を他の用途で使用するのを制限しているというものです。
地目
土地登記簿謄本上には地目という欄があり、宅地や雑種地、畑などそれぞれの土地に地目が割り振られており、地目は23種類存在しています。
そのなかでも畑や田は農地に該当し、農地を保護するため勝手にその土地を農地以外の目的で使用することを禁じています。
いくら安くて広くて立地が良かったとしても地目が農地のままですと営業所を建てることはできないですし既存の建物が建っていてもそれは違法状態になってしまうので営業所として利用することはできません。
また、それは車庫であっても同様です。
それでも「自身でその土地を所有している方」や「どうしてもこの土地がいい」という方は農地転用許可の手続きをすることで地目を農地から変更することが出来る可能性があります。
予定地の地目を確認する方法は直接法務局に確認しに行く方法や法務省が提供している「登記・供託オンライン申請システム」を利用して謄本を取り寄せる方法、固権利書や定資産納税証明書などの材料があればそこにある地目欄を確認する方法などがあります。
農地転用に関する記事は今後作成していきますので少々お待ちください。
まとめ
以上、営業所や車庫を契約する前に知っておきたい関係法令について解説してきましたがいかがでしたか?
これらは契約しようとしている又は契約した不動産が利用できるかできないかを分ける大変重要な要素であるにもかかわらず実に軽視されがちです。
契約が済んでから関係法令への抵触が発覚したら大事な時間やお金がもったいないですよね。
ですが、それらを事前に確認しようとしても、運送業界は各種法令が複雑に絡み合っており、本業で忙しい事業者様がコンプライアンスの徹底を行うことは困難であるというのが実情です。
そこでオススメなのが行政書士の利用です。
行政書士を利用することで
・事業者様が本業に専念して頂くことにより利益を上げることが出来る
・事業者様の勉強時間や手間を削減し、かつ確実な手続きを実現
・コンプライアンスについてサポートを受けることで事業の安定的かつ持続的な発展を目指すことが出来る
・顧問契約を結ぶことで困りごとについてのアドバイスや相談を受けることが出来る
など、運送事業者様にとって様々なメリットがあります。
さらに、弊所は数ある行政書士事務所のなかでも運送業を専門に取り扱っている行政書士事務所であり、元ドライバーである行政書士が貴社の運送業経営を徹底サポートいたします!
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