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今更聞けない…複雑化しているトラック免許の種類を解説!

今更聞けない…複雑化しているトラック免許の種類を解説!

「運送事業を経営しているけど、最近の免許制度が複雑すぎるし、いまさら人にも聞けない…」

「若いドライバーを採用した際にどの車両まで扱えるのかイマイチわかりにくい…」

そんな事業者様も多いのではないでしょうか。

実は、平成29年に行われた道路交通法一部改訂により「準中型免許」制度が施工されました。

え、なにそれ… という方も多いかもしれませんが、自身が所持している免許が「準中型免許」だった。なんてこともあるかもしれません。

なぜなら、「平成19年6月2日から平成29年3月11日以前に普通免許を所持した人であって、前述した改正以降に免許更新を迎えていない方」は表示が普通免許のまま、実際は準中型免許の扱いとなっていおり認識する機会が少ないからです。

例えば、18歳で普通免許を取得しそのまま普通免許を所持している人の場合は現在25歳~35歳くらいの人が該当することになります。

なんだか勝手に免許が昇格したみたいでいいじゃないか。と思われる方もいるかもしれません。

ですが、いままでの普通免許所持者が準中型免許になる=現在の普通免許で扱える車両の幅は狭くなっている(最大積載量3t未満から2t未満へ変更など…)。ということです。

すなわち、その制度改正自体を認識していないまま配車や採用活動を行ってしまった場合、

採用した人が運転出来ないはずの車両を割り当てて運行してしまったり、乗車前に事前に認識できたとしても、割り当てるはずだった車両に乗車させることが出来ないなど不都合なことが起こりえます。

ほかにも大型免許・中型免許の受験資格となっていた年齢の引き下げなどの変更点がありますので、いま一度採用担当者だけでなく事業主様や運行管理者様もしっかりと現在の免許制度について触れておくことに十分意義はあるかと思います。

この記事では大型免許、中型免許や8t限定など複雑になりすぎている免許の種類や受験資格などについて解説していきます。

免許証の表示、曖昧になっている記憶だけに頼らず正しい判断が下せるよう、是非この機会に学んでいきましょう!

運転免許の種類

大型免許

大型免許の受験資格が「21歳以上かつ普通免許3年以上保持」というのはみなさんお馴染みかと思います。

この受験資格が道路交通法改正により変更され、

令和4年5月から19歳以上、普通免許等1年以上保持という要件で大型免許を取得することが出来るようになりました。

↓詳しくはこちら↓

この改正は慢性的な人手不足の解消を目的としたものであり、実際に人手不足に悩まされてきた運送事業者様にとってはありがたい知らせであったかと思います。

その一方で懸念されるのが、安全面です。

こちらについては免許取得前と後にそれぞれ条件を付しています。

  1. 実施されている教習所で「特例教育」を受ける(取得前)
  2. 累計違反点数が3点を超えた場合「若年運転者講習」受講義務(取得後)

以上の2つの条件をクリアすることで安全性が担保される。といった制度です。

受験資格車両総重量最大積載量乗車定員
21歳以上
普通免許等保有3年以上
(特例教育を受けた場合、19歳以上普通免許等保有1年以上へ短縮)
11t以上6.5t以上30人以上

中型免許

平成19年6月に制定された免許制度です。

中型免許も大型免許と同様に特例教育を受けることにより、要求される年齢と経験年数の引き下げを行うことが可能です。

扱えるトラックの大きさだけでなく乗車定員が29人以下と多いため汎用性が高いことと、若手ドライバーに4t車を運転させることが出来るようになるため需要のある免許です。

受験資格車両総重量最大積載量乗車定員
20歳以上
普通免許等保有2年以上
(特例教育を受けた場合、19歳以上普通免許等保有1年以上へ短縮)
11t未満6.5トン未満29人以下

8t限定 中型免許

平成19年6月以前に普通免許を保持していた人が持っている免許であり、

制定からそれなりに年月が経過していることと、免許の更新を受けた際に説明を受けたり免許に記載があることで認識している方も多いと思います。

4t車の運転が可能であることから運転を生業とする方以外は大体これだけでカバー可能な免許ですが、

中型免許と比較すると最大積載量の差だけでなく乗車定員でも中型免許は29人以下、8t限定は10人以下とかなりの差があることがわかります。

仮にトラックドライバーとして、今後のステップアップとして中型免許の取得を目指してる。

マイクロバスを運転したい。(料金を取る場合は2種免許が必須)

といった場合には「8t限定解除」が必要となります。

8t限定解除は現行の普通免許から中型免許の取得を目指す場合よりも受ける教習の時間が短く、料金も安く済むためお手軽に中型免許取得を目指すことが出来ます。

運送事業者様の場合、新たにドライバーに選任する際や在籍ドライバーの配車をする際は右下の種類欄の「中型」だけに注意をせず、条件欄の中型車(8t限定に限る)の記載を見落とさないよう注意が必要です。

受験資格車両総重量最大積載量乗車定員
8t未満5t未満10人以下

準中型免許

平成29年3月以降に免許を取得する方は普通免許を取得するか準中型免許を取得するかを選択することが出来るようになりました。

背景にはやはり人手不足があり、年齢や運転経験の受験資格がネックとなっていた従来の免許制度から運転免許未所持の状態でも準中型免許にチャレンジできる制度とすることによりドライバー確保につなげていくという目的があります。

後述する元普通免許の5t限定準中型免許所持者よりこちらの準中型免許所持者のほうが積載量の大きい車両を扱うことが出来ますが、4t車の車両総重量はおおむね8tあるため準中型免許では運転できないと認識しておいてください。

運転免許取得支援制度を自社で行っている場合、普通免許未所持者を採用して準中型免許取得の支援をするといったことも視野に入れてみてもいいかもしれません。

受験資格車両総重量最大積載量乗車定員
18歳以上
普通免許等保有歴不問
7.5t未満4.5t未満10人以下

5t限定 準中型免許

平成29年3月11日までに普通免許を取得した方が所持している免許です。

改正により準中型免許が制定されてからできた免許の種類であり、まだまだ認知が広がってないのが現実です。

2t車といわれる車両も運転することが出来ますが、車両総重量が5t未満と制限されているので冷凍などの2t車の場合は運転できるかよく確認して配車を組む必要があります。

さらに、新たにドライバーに選任する際や在籍ドライバーの配車をする際は右下の種類欄の「準中型」だけに注意をせず、条件欄の準中型車(5t限定に限る)の記載を見落とさないよう注意が必要です。

受験資格車両総重量最大積載量乗車定員
5t未満3t未満10人以下

普通免許

平成29年3月12日以降に普通免許取得をした方が所持している免許です。

改正後車両総重量と最大積載量が引き下げられており、正しい認識をしていないとドライバーに無免許運転をさせることになりかねませんので注意が必要です。

軽貨物やバンでの配送など、最近需要が高まっている分野ではありますが一般貨物運送事業者として行うほとんどの配送には適さないことが多いかと思います。

普通免許所持者を採用して自社の免許取得制度でドライバーのステップアップ支援を行い、人材確保や人材育成の武器としている事業者も多いです。

ただしこの免許取得支援をこれから導入する場合、労働基準法関連で気を付けなければならないことがいくつかありますので導入する際は専門家とよく相談したうえで行ってください。

受験資格車両総重量最大積載量乗車定員
18歳以上3.5t未満2t未満10人以下

まとめ

以上、複雑な免許の種類や受験資格などについて解説してきましたがいかがだったでしょうか?

前述したとおりいまの免許制度についてしっかりとした知識をもっていないと知らないうちに無免許運転を強要していた。なんてことになりかねません。

弊所は数ある行政書士事務所の中でも運送業を専門に取り扱っている行政書士事務所ですので、帳票類管理や事業計画の変更があった場合の認可申請や届出など、適法化へのサポートも取り扱っています。

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お困りのことがありましたら是非お気軽にご相談ください。