【貨物】整備管理者の届出方法について解説!
整備管理者は運送会社の命である車両の点検整備の管理を担う大切な役職であり、その分整備管理者の選任要件は厳しいものになっています。
要件を満たした整備管理者を確保できそうだ!
となった場合、次は実際に選任するための書類を用意していきましょう。
整備管理者として選ばれるためには
・2年以上の実務経験がある
・整備士資格を所有している
のいずれかに該当する必要があります。
↓詳しい選任要件についてはコチラ↓
選任する整備管理者が上の2つのケースのどちらに該当するのかによって届け出る際に必要となる書類が違ったり、場合によっては自社のみで書類を用意することが出来ないこともあります。
この記事では
「初めての手続きで不安だ…」
という事業者様に向けて、整備管理者を選任する際に必要となる書類の種類や作成方法についてわかりやすく解説していきますので、是非最後までご覧になってください。
目次
選任に必要な書類
点検整備や整備の管理について2年以上の実務経験がある人を選任する場合
必要となる書類は以下の4点です。
- 運行・整備管理者選任等届出書
- 選任前研修修了証明書の写し
- 整備管理者選任届出書に添付する書面
- 実務経験証明書
運行・整備管理者選任等届出書
出典:関東運輸局
運行・整備管理者選任等届出書は名前の通り運行管理者と整備管理者を選任する場合に提出する書類です。
この書類は営業所ごとに作成提出する必要があり、整備管理者を選任した日から15日以内に届出の義務があります。
補足として、整備管理者の解任もこの書類を使用して行います。
実際に解任を怠っている事業者様は多いです。もし違反した場合30万円以下の罰金が課される恐れがありますので期限内に必ず行ってください。
選任前研修修了証明書
新たに整備管理者を選任する場合「選任前研修」を受けさせなくてはなりません。(整備士資格所有者は不要)
選任前研修を無事終了したら修了書が発行されますので、その写しを添付書類として提出します。
事業拡大の際の整備管理者確保も相変わらず骨が折れます。実はこの修了書に有効期限はありませんので、事業拡大を目指している事業者様は補助者候補の人に早めに研修を受けてもらうようにしましょう。
整備管理者選任届出書に添付する書面
出典:関東運輸局
本当にそのままの名前なのですが
・整備管理者の資格要件を有していること
・整備管理者を解任されたことがあり、その解任の日から2年(一般貸し切り旅客の場合5年)を経過していないものではないこと
以上の2つに間違いがないことを誓約する書類です。
間違いがないことを誓約する内容の書類ですので、虚偽の内容を記載しないよう、取扱いには十分注意しましょう!
実務経験証明書
出典:関東運輸局
2年間の点検整備や管理の実務経験を証明するためには「実務経験証明書」の作成が必要です。
この書類は過去の経験を証明するという性質上こちらで作成することはできず、整備管理者選任候補の人が過去に整備の経験を積んだ職場に証明してもらう必要があります。
記載する事項は
- 雇用されていた期間
- 事業所の名称と所在地
- 職名
- 業務の大要(「点検」「整備」「整備の管理」のどれかを記載)
- 自動車の種類(「バス」「乗用車」「トラック」「オートバイ」などを記載)
- 事業者の住所、名称、代表者名
以上6つの項目について先方に記載いただき、最後に自筆署名または押印を貰うことが出来ればOKです。
なお、1つの事業者で経験年数2年に達しない場合は複数事業者から証明書を入手し、合計することもできます。
一級、二級または三級の自動車整備士技能検定に合格した人を選任する場合
必要となる書類は以下の4点です。
- 運行・整備管理者選任等届出書
- 整備管理者選任届出書に添付する書面
- 試験合格を証明できるもの
「運行・整備管理者選任等届出書」と「整備管理者選任届出書に添付する書面」については前述した内容と変わりませんので割愛致します。
試験合格を証明できるもの
整備士資格を有している証明として合格証明書の写しを提出する必要がありますので選任予定の方から写しを頂いてください。
その際に、要件を満たせる資格であるかを間違いなく確認しておきましょう。
合格を証明できるものは
- 合格証書
- 合格証明書
- 整備士手帳
の3つになります。
もし紛失してしまっていた場合は証明書と整備士手帳については、各地域の整備振興会で再発行可能ですのでそちらで対応するようにしてください。
整備管理者を外部委託する場合
原則自社で整備管理者を用意するべきなのですが、例外として外部委託が認められるケースがあります。
条件としては
- 委託者及び受託者がグループ企業内であること。
- グループ企業が一体となって輸送の安全確保に取り組む体制を確保するため、安全管理規程及び整備管理規程その他必要な規程類について、次の条件を満たしているこ と。
- イ) グループ企業が共同で作成していること。
- ロ) 親会社等と子会社等の関係のみならず、子会社等同士の関係においても、親会社等を介して判断基準を統一することを目的として、親会社等が子会社等に対し指揮、命令及び教育を行う旨が明記されていること。
- ハ) 整備管理者が委託者に対し財政面を含めた意見具申を直接行うことを目的として、定期(3月に1回以上)に会議等を開催する旨が明記されていること。
- 整備管理の適切な実施を担保するため、次の条件を満たしていること。
- イ) 外部委託をすることについて、受託者及び受託者の事業主又は事業場責任者が 同意・承認していること。
- ロ) 整備管理者が他の業務又は役職を兼ねている場合、その兼職内容及び兼職に関わる事業所間の距離が、整備管理者の業務を行うに支障とならないこと。
- 当該事業者が、過去2年間のうちに(1)~(3)の条件に違反したとして、整備管理者の選任義務違反とされた者でないこと。
以上のすべてに当てはまる場合のみ外部に整備管理者を外部委託することが認められています。
このケースの場合、通常の届出書類に加え、以下の3点を追加で提出する必要があります。
- 外部委託先がグループ企業内であることを証する書面(登記簿、営業報告書等及び組織図等)
- 委託契約書
- グループ企業内で整備管理者選任義務違反とされた者でないことが記載された書面
整備管理規定
出典:国土交通省
整備管理者を選任する際、内容に齟齬が生じていないか確認するために整備管理規定の提示も要求されます。
整備管理規定には
- 整備管理者として点検整備の実施や運行可否の決定権限その他の権限(道路運送車両法施行規則第 32 条第1項各号に記載されています)が付与されていること
- 整備管理者が与えられた権限に基づき、適切に業務を行うこと
- 外部委託の場合にあっては、必要な内容が明文化され、外部委託の条件を満たしていること
- 補助者が選任されている場合にあっては、必要な内容が明文化されていること
- その他、適切な車両管理を行う体制であること
が記載されている必要があります。
この整備管理規定は整備管理者に与える権限や業務範囲を記載する必要があるため、事業者ごとに内容が異なってくるものです。今後の計画や実情に沿った内容で策定していきましょう。
弊所は運送業専門の行政書士事務所ですので、御社の実情に沿った整備管理規定の策定もお手伝い可能です。お悩みの方は気軽にご相談ください。
まとめ
以上、整備管理者選任の際に提出する書類について解説していきましたがいかがだったでしょうか?
このページでは解説していないですが選任だけでなく解任についても届出が必要であり、解任の届出は忘れやすいうえに巡回指導や監査でもチェックされる項目ですので要注意です。
運送業界は各種法令が複雑に絡み合っており、本業で忙しい事業者様がこれらの管理を行い、コンプライアンスの徹底を図ることは困難であるというのが実情です。
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