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【貨物】点呼の種類と正しい実施方法を解説!

【貨物】点呼の種類と正しい実施方法を解説!

「慣習でやってるけど、うちの点呼のやり方ってあってるの?」

「営業所と車庫が離れている場合の点呼ってどうすればいいの?」

「長距離で営業所に帰れない場合の点呼はどうすればいいの?」

点呼は運行管理者が行う業務の一つで法令で行うことが義務付けられている大切な業務です。

人手不足だから点呼が出来ない。

書類で帳尻併せてまだ指摘を受けていないから大丈夫。

そんな事業者様もいまだにいらっしゃるかと思います。

ですが、点呼を行わなかった場合

監査時に指摘を受け行政処分を受ける

ドライバーが酒酔い状態にあることを運行開始前に認識できない

ドライバーの健康状態や睡眠がとれたか等の確認ができない

コミュニケーションを取る機会が少なくなる

などの色々な問題が発生してしまいます。

そうならない為にも、正しい点呼の方法や人手不足解消に貢献してくれる点呼方法について理解を深める必要があります。

この記事では適切な点呼の方法や種類について解説していきますので是非、最後までお付き合いください。

点呼の3種類

点呼には法令で定められた3つの種類が存在します。

・乗務前点呼

・乗務後点呼

・中間点呼

これからこの3つの点呼について、どのようなものなのか、いつ行うべきなのかなど掘り下げていきましょう!

乗務前点呼の実施方法

貨物自動車運送事業輸送安全規則に乗務前点呼の方法について記載があります。

貨物自動車運送事業者は、業務に従事しようとする運転者等に対して対面により、又は対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法(運行上やむを得ない場合は電話その他の方法。次項において同じ。)により点呼を行い、次の各号に掲げる事項について報告を求め、及び確認を行い、並びに事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な必要な指示を与えなければならない。

この内容を分解していくと

1.運転開始前のドライバーに対して

2.対面または同等の効果を有する方法で点呼を行い

3.定められた事項について報告を求め、確認を行い

4.運行の安全を確保するために必要な支持を与える

ということになりますが、抽象的過ぎるのでもう少し詳しく解説していきます。

運行開始前のドライバーに対して行う

運行開始前に点呼を行うのはご存じかと思いますが、

車庫と営業所が離れている場合はどうすればいいのでしょう?

勿論、点呼を受ける前にトラックを走らせて営業所まで…というのは認められません。

一旦自家用車で点呼を受けて運行開始というのが一番理想なのですが、日常点検の報告をする必要があるのでまた営業所に戻って~なんてこともしたくありませんよね。

実際そんなことをやっている時間もないので点検をやらない、もしくは点呼自体をやらないなんてことになってしまったら本末転倒です。

この場合

・運行管理者が車庫へ行き、車庫で点呼をおこなう

・IT点呼や遠隔点呼による点呼をおこなう

の2つが対処法として考えられます。

「運行管理者が車庫に行き、車庫で点呼を行う」場合は問題点が2つ考えられます。

1つ目は車庫を点呼実施場所として認可を受けていないと監査の際に指摘を受ける

2つ目は営業所に管理者がいない状況が発生してしまう

以上の問題点があるため、可能であれば「IT点呼や遠隔点呼による点呼を行う」方法で実施することをおススメします。

どうしても実務上できないということであれば、点呼場所として車庫で認可を受けることや運行管理補助者の利用などで対処する必要があります。

対面または同等の効果を有する方法で点呼を行う

点呼は原則対面で行う必要がありますが、一定の条件がそろっている場合はIT点呼や遠隔点呼による非対面での点呼を行うことが出来ます。

IT点呼と遠隔点呼のいずれかを取り入れることが出来れば労務改善や記録簿管理の簡易化にも繋がります。

条件や予算をクリアできる事業者さまは是非導入を検討してみてください。

↓IT点呼と遠隔点呼について詳細はこちら↓

定められた事項について報告を求め、確認を行う

乗務前点呼の記載事項は以下の通りです。

点呼執行者名運転者名自動車登録番号or識別できる記号等
点呼日時点呼方法(アルコール検知器の使用の有無、 対面でない場合は具体的方法)酒気帯びの有無運転者の疾病疲労、睡眠不足等の状況
日常点検の状況指示事項その他必要な事項

これらの事項を確認することは点呼業務の核となる部分です。

営業所の規模によりますが、運行管理者が行う点呼の回数はかなりの数になるでしょう。

ですが、忙しいからといってドライバーの報告に対し確認を作業的におこなうのではなく、

ドライバーの顔色や声のトーンなどから様々な情報を感じ取り運行の可否を判断することはとても大事です。

ドライバーという仕事の性質上、どうしても他の仕事と比べてコミュニケーションを取る機会が少なくなりがちになり、運行管理者が行うべきドライバーとの情報共有にも支障をきたしかねません。

安全な運送事業経営を実現するためには作業ではなく、コミュニケーションを意識した業務としての点呼実施が求められます。

運行の安全を確保するために必要な指示を与える

例として挙げられるのが

・道路状況(渋滞情報や事故の情報、天候)

・休憩の取り方

・運転技術

などについて具体的なアドバイスをドライバーにすることにより、安全性向上に貢献する。というものです。

デジタコなどの運行記録計の記録を利用したドライバーのクセの把握、周辺の道路又は高速道路の道路状況把握などは比較的時間も取らず、かつ効果的なアドバイスの材料となります。

下の記事では行うべき教育や教育記録についても解説しています。

乗務後点呼の実施方法

乗務後点呼についても貨物自動車運送事業輸送安全規則で以下のように定められています。

貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の運行の業務を終了した運転者等に対して対面により、又は対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法により点呼を行い、当該業務に係る事業用自動車、道路及び運行の状況について報告を求め、かつ、運転者に対しては酒気帯びの有無について確認を行わなければならない。この場合において、当該運転者等が他の運転者等と交替した場合にあっては、当該運転者等が交替した運転者等に対して行った第三条の二第四項第四号又は第十七条第四号の規定による通告についても報告を求めなければならない。

乗務前点呼と重複しない項目だけ解説していきます。

当該業務に係る事業用自動車、道路及び運行の状況について報告を求める

業務終了後の車両の状態やトラブルの有無、道路状況などについてドライバーから報告を受けます。

報告を受けた道路状況については必要に応じて他のドライバーへの周知をしましょう。

当該運転者等が他の運転者等と交替した場合にあっては、当該運転者等が交替した運転者等に対して行った第三条の二第四項第四号又は第十七条第四号の規定による通告についても報告を求めなければならない。

なんだか難しそうな文章が書いてありますが、要約すると「運転者が途中で他のドライバーと交替したら、車両、道路状況、運行状況について情報を伝達。運送事業者はその内容の報告を受けてね。」という内容です。

乗務後点呼について

乗務後点呼を行うタイミングについては車両帰庫後スムーズに行ってもらうようにしましょう。

元ドライバーとしての経験上、たまたま車庫であった仲のいいドライバー同士の会話はなかなかの長さです。

点呼までの時間、会話を放置していると30分、1時間と時間が過ぎて行ってしまい労務管理もなにもありません。

ドライバー同士仲がいいのは結構ですが、点呼だけは先に受けてもらえるようにある程度の管理が必要となります。

中間点呼

中間点呼について貨物自動車運送事業輸送安全規則で以下のように定められています。

貨物自動車運送事業者は、前二項に規定する点呼のいずれも対面により、又は対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法で行うことができない業務を行う運転者等に対し、当該点呼のほかに、当該業務の途中において少なくとも一回電話その他の方法により点呼を行い、第一項第一号及び第二号に掲げる事項について報告を求め、及び確認を行い、並びに事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な指示をしなければならない。

見て頂いてもわかる通り、中間点呼は特殊なもので使用する機会は限られてくるかと思います。

乗務前、乗務後の”いずれかを対面で”受けることが出来れば中間点呼を行う必要がないため、2泊3日以上の運行の場合電話で行うことになります。

乗務前、乗務後のいずれかを対面で中間点呼が不要なだけであり、宿泊を伴う運行では、目的地到着後と翌日の出発前に点呼を電話等で行う必要があります。

アルコールチェッカーを乗務員に携行させ、チェックを実施、報告を求める必要があります。

点呼の確認事項については通常行う点呼から変更はありません。

蛇足ですが、2泊3日以上の運行をする際によく忘れられている業務が運行指示書の作成です。

出典:大阪府トラック協会

運行指示書の作成が必要な運行をしているにもかかわらず作成を怠っている場合、巡回指導や監査で必ず指摘を受けます

事実、神奈川県貨物自動車運送適正化事業実施機関が実施した令和4年の巡回指導では年間を通して指摘件数が第2位(否割合40.9%)でした。

作成後については

・運行指示書の正本をドライバーに携行させる

・業務終了後運行指示書を1年間保存

以上の2つについて義務がありますので、忘れずに行うようにしましょう。

まとめ

以上、3種類の点呼について解説していきましたがいかがでしたでしょうか?

点呼はドライバーの健康状態の把握、飲酒運転の防止、コミュニケーション手段など、行うことによって得られる恩恵は様々です。

「人手不足だから」はもうこの時代では通用しません。

人手が不足しているのはどうしてなのか?点呼すら行っていない会社に新入社員は望んで入ってくるでしょうか?

運送事業者の倒産は年々増加していますが、そんな時代であっても持続的に進化、発展をめざしていく。

そのためには毎日の点呼をないがしろにせず、小さな積み重ねを大事にしていく姿勢が求められます。

ですが、運送業界は各種法令が複雑に絡み合っており、本業で忙しい事業者様がコンプライアンスの徹底を行うことは困難であるというのもまた現実です。

そんな忙しい事業者様にオススメなのが行政書士の利用です。

行政書士を利用することで

・事業者様が本業に専念して頂くことにより利益を上げることが出来る

・事業者様の勉強時間や手間を削減し、かつ確実な手続きを実現

・コンプライアンスについてサポートを受けることで事業の安定的かつ持続的な発展を目指すことが出来る

・顧問契約を結ぶことで困りごとについてのアドバイスや相談を受けることが出来る

など、運送事業者様にとって様々なメリットがあります。

さらに、弊所は数ある行政書士事務所のなかでも運送業を専門に取り扱っている行政書士事務所です。

帳票類管理や事業計画の変更があった場合の認可申請や届出など、適法化へのサポートも取り扱っていますのでお困りのことがありましたら是非お気軽にご相談ください。