運送業起業を目指している人必見!躓きやすいポイントとその対策を解説!
こんな方にオススメ!
「運送業起業を目指しているけど、予め気を付けるべきポイントを知っておきたい」
「起業まで何が足りないのか知りたい…」
「要件を満たすための具体的方法を知りたい…」
運送業で起業をし、沢山の車両とドライバーを抱え物流というインフラを支える。
運送業界に長く携わっていればそんな憧れを持つ方もいらっしゃるかと思います。
実は運送業はだれでもすぐに起業できるものではなく、まずは「運送業経営新規許可」を取得する必要があり、その許可を取得するためには国が定めた要件を満たす必要があります。
この要件は大きく「ヒト」「モノ」「カネ」の3つに分けることができ、例えばヒトであればドライバーが5人以上、運行管理者や整備管理者をおく。など、いわば国が設定したハードルのようなものがあり、開業時に一定以上の規模が求められてしまうので小さく起業する。というのが難しい業種です。
この記事では「ヒト」「モノ」「カネ」の3つの要件の中で開業を目指している人が躓きやすいポイントやその対処法を解説していきますので、是非最後までお付き合い下さい!
↓運送業許可要件の一覧はこちらを参照ください↓
目次
「ヒト」の躓きやすいポイントと対策
役員法令試験
役員法令試験は隔月(奇数月)で行われる試験で常勤の役員が1人だけ受験することが出来ます。
まずはこの試験に合格しないと書類審査すら始まらないので一度で合格しスムーズに許可を受けるのが理想です。
一発合格を目標とすることはもちろんいいことなのですが、実は試験、合格率が約3~6割程度の試験で、名前を書けば受かるような簡単な試験ではないのです。
法令試験という名前を見るだけで嫌になる試験の対策として、弊所は「時間を計測しながら過去問を解いてみる」ことをおススメしています。
法令試験は、問題を読み、会場で配布された法令集の中から問われている条文を見つけ出す形式です。ですので実際に条文を暗記するような能力は求められませんが、条文を引くことに慣れていない方が多数の法令の中からそれを見つけるというのはとても難しく、時間がかかってしまうでしょう。
法令試験の試験時間は50分です。その短い時間で最初からすべての問題を解き切ることは至難の業です。(行政書士試験を通過した私も最初は時間内に解き切りませんでした。)
ですので多少面倒でも実際に本番さながら時間を計測して過去問を解き「なにが苦手なのか」「なにが無駄だったのか」と反省を繰り返し回答の精度や速度を上げることが一番効率的な方法だといえるでしょう。
実際にこの方法で対策を行う場合は
各地方運輸局のホームページで過去問が配布されているため、こちらを使用して対策を行ってみてください。
それでも「やっぱり無理そう…」「時間がないからお金をかけてでも効率よく学びたい…」といった場合は、弊所が提供している役員法令試験対策の受講を検討してみてください。弊所では勉強に必要なテキストや法令集のお渡し、マンツーマンでの指導、試験まで何度でも相談可能(追加料金なし)などのサービスを提供させていただいております。法令試験に不安がある事業者様へ大変オススメな内容となっております。是非ご利用ください。
運行管理者探し
運送業開業をするには運行管理者資格者証を所持している人をドライバー以外から最低でも1人以上用意しなくてはなりません。
そしてこの資格者証を取得するには、運行管理者試験に合格する必要があります。(一定の実務経験を有している場合を除く)
さきほど紹介した法令試験は各法令の内容を記憶しなければならないものではなく、正確かつスムーズに必要な情報にたどり着けるかを問われる試験でした。
対して、この運行管理者試験は正しい知識を持っているか、必要な知識を記憶しているかを問われる試験となっており、学生時代に皆さんが経験してきたテストの形式と似ている出題方式ですので、対策方法は普通の試験とさほど違いはないです。
運行管理者試験も法令試験同様、簡単に合格できる試験でもないことに加え、こちらは年に2回しか実施がなく合格率も3割程度とかなり厳しい試験であり、運行管理者試験に合格し資格者証を所持している母数が少ないため確保は困難です。
もし開業までに運行管理者を確保できない場合の対策はとてもシンプルで、社長や役員含め出来るだけ多くの人が試験を受けることです。(役員法令試験の場合は1人のみでしたが運行管理者試験に人数の制限はありません。)
この時に行うべき試験の対策方法としては「テキストと過去問を並行利用する勉強法」がオススメです。
試験勉強のやり方でよくある間違いが「とりあえずテキストを読んでなんとなくやったつもりになる」ことが挙げられます。
テキストはもともと知識をインプットすることには向いていますが、「現在の自分の実力」「時間配分」「出題傾向」を把握することには向いておらず、だからこそ、テキストと過去問を並行して利用し勉強することで試験対策を万全に行う必要があるのです。
合格には大体100時間程度の勉強時間が必要とされていて時間はかかりますが、正しい勉強法を身に着けて一生懸命取り組めば絶対に合格できる試験です。勉強する内容は今後の業務でも実際に必要な知識ですので是非この勉強法を取り入れて勉強に励み1発合格を目指しましょう!
注:運行管理者試験受験前に受験資格を取得することをお忘れなく!
整備管理者さがし
整備管理者は運送業の命でもある車両の整備や管理を任されるポジションであり各営業所ごとに1人以上選任が義務付けられています。
整備管理者は「自動車の点検整備や管理者としての実務経験が2年以上あること」と「自動車整備士技能検定に合格した者」のいずれか1つにでも該当する人がいればその人が整備管理者になることが出来ます。
自動車整備士資格を所有している人は、車両の整備や点検に関する知識や経験が資格によって担保されており、選任前研修という研修を受講する必要がないので会社としては是非確保したい人材かと思います。
ですが運送業界に負けず劣らず自動車整備業界も人手不足の問題を抱えていて、令和4年の平均有効求人倍率1.28倍に対し、自動車整備業界の有効求人倍率は実に5.02倍となっています。出典:厚生労働省
ですので余程運がないと整備士資格保有者を迎え入れることは難しいでしょう。
もし整備の実務経験がある人や整備士資格を持っている人が周囲にいなければ、管理者として管理をしていた人もなることが出来る可能性がありますので管轄の運輸支局に確認してみてください。
既に運送会社を経営している方は早い段階で補助者を選任しておくことで、整備管理者が不在の時間帯でも車両管理や点検の対応も可能になり、同時に未来の整備管理者を育成することができます。
補助者の選任は早めにおこなっておきましょう。
↓このページでは整備管理者の選任要件について詳しく解説しています↓
「モノ」の躓きやすいポイントと対策
車両の準備
車両の決定するには、まず自社でどのような荷を輸送するのかが決まっていなくてはなりません。(冷凍品を運ぶなら冷凍車を用意する等)
公示「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請の処理方針について」内でも
事業用自動車の大きさ、構造等が輸送する貨物に適切なものであること。
という記載がありますので行政側からも事業計画に沿った車両を選択するよう求められていることがわかります。
扱う荷が決定したら次はその荷の性質や物量等を考慮し、車両を選択しましょう。
車両を用意する手段としては現在「購入」や「リース」がありますが
「導入時に頭金などの多額の資金が不要である」「コストの把握が容易である」「事務管理の省力化が図れる」などの理由から現在はリースを選ぶ事業者様が増えてきています。
さらに今後事業拡大を行う際に車両が増えればリース会社との価格交渉の余地も増えていきますので、最初にかかる費用は小さく、後に増車するタイミングでは低コスト化へ向け交渉が出来るというのもリースのメリットです。
(社)日本自動車リース協会連合会「車種別・全国リース車保有台数の年別推移と対前年比」より作成
運送業許可を申請する際には予定車両を決定しておくだけでいいので、実際に車両が必要になるのは許可が下りてからです。ですので申請から許可取得までの約半年間くらいは車両が必要ない期間が発生します。
だからといって車両の契約は申請ぎりぎりでもいいのかというと、それでは遅いです。
現在も世界的に半導体が不足している状況は続いており、新車の納車が非常に遅くなっています。
車両がないことには運行開始をすることはできませんし、その間にも人件費や賃貸料などの費用は掛かり続けてしまいます。新車を用意する予定の方は販売店との調整を怠らず、早め早めの行動を心掛けましょう。
営業所の準備
営業所含め不動産の確保は大変骨が折れます。
営業所確保で特に気を付けるべきポイントは「農地法、都市計画法、建築基準法などに抵触しないこと」です。
そもそも営業所が法令に適合していないのに行政は許可を出してくれませんし、仮に通ったとしても後に抵触していることが判明した場合、現状回復や立ち退きで移転を余儀なくされる等、悲惨なことになりかねません。
たまに「不動産屋さんが大丈夫だと言っていたから」「前に運送会社が入っていたから」という方もいらっしゃいますが、正直言ってそれだけを頼りに契約をしてしまうことはリスクが高いです。昔と今では審査基準も違いますし、不動産屋は無数の物件を取り扱っていますが運送業の営業所利用目的という案件自体母数が少ないので知識を身に着けたりや経験を積むこと自体が少ないからです。
↓営業所や車庫を契約する前に知っておきたいことについて解説したページ詳しくはこちら↓
車庫の準備
車庫の準備も農地法などに抵触しないことが求められますが、それとは別に
「前面道路が車両制限令に抵触しないこと」が求められます。
車両制限令とはこの道路は一定以上の大きさや重さの車両の通行を規制するものです。
みなさんは細い道路での運転中に前から大きなトラックが来て後退せざるを得ない状況に陥ったり、一生懸命壁側に寄せ、なんとかすれ違えた等の経験はありませんでしょうか?
また、道路に過剰な負荷がかかり、ヒビや穴が空いているところを見たことはありませんでしょうか?
これらは細い道路の車幅に見合わない大きな車が進入してくることによっておこるトラブルであったり、規定以上の重量を乗せた車両が通行したことによる道路へのダメージの現れです。
そういったトラブルが起きないように、車両制限令が存在します。
何が言いたいのかと言いますと車両の大きさにあった広さの車庫前面道路でないと車庫から出入りできないので車庫決めの際には車庫前面道路や車両の大きさを考慮する必要があります。
ですので予定している車両の大きさがどれくらいで、予定している車庫前面道路の広さがどれくらいか把握しておかなくてはいけません。
↓車両制限令については詳しく解説したページはこちら↓
「カネ」の躓きやすいポイントと対策
資金はいくら必要なのか?
新規で運送業許可を取得するには一般的に約2500万円程度の預貯金が必要とされています。
「一般的に」としたのには理由がありまして、それぞれ事業者が建てている事業計画によって大きく必要となる資金量が変動してくるからです。
例えば
A社は都心部に営業所と車庫を構え、新車を用意し、従業員も沢山雇う
B社は地方に営業所と車庫(自己所有の物件)を構え、中古車を用意し、従業員は6人しか雇わない
この2社では大きく必要となる資金が違ってきてしまいます。
A社の場合はもちろん2500万円では足りませんし、B社では2500万円も必要とならないでしょう。
以上のことからわかるように、一概にいくらあれば大丈夫だとか、いくらないとダメだとは言い切れないのがお金の要件です。
所要資金を常時確保
申請者が銀行で取得する残高証明によって、役所は運転資金を十分に確保しているか確認を行います。
この残高証明による確認は、申請時と運輸局が指定した日の2回行われます。
一度目は当然事業計画から導き出した必要資金以上を確保しているのですが、2回目には他のことにお金を使ってしまったり、事業計画を変更する必要が出てきて、その結果必要資金を下回ってしまうといったことが考えられます。
そうなってしまうとせっかく申請を行ったのに却下とされてしまい、もう一度申請をし直す必要が出てきてしまいます。
それだけは絶対に避けたいので、申請時点で最低限の額ではなく、事業計画に対して出来るだけ余裕をもった額で申請するようにしましょう。
まとめ
以上、開業を目指している人が躓きやすいポイントやその対処法を解説していきましたがいかがだったでしょうか?
運送業許可取得の特に問題となりやすい項目について重点的に説明していきましたが、このほかにも落とし穴は沢山存在しています。
運送業界は各種法令が複雑に絡み合っており、本業で忙しい事業者様が一から自身で申請を行うことは困難であるというのが実情です。
そこでオススメなのが行政書士の利用です。
行政書士を利用することで
・事業者様が本業に専念して頂くことにより利益を上げることが出来る
・事業者様の勉強時間や手間を削減し、かつ確実な手続きを実現
・コンプライアンスについてサポートを受けることで事業の安定的かつ持続的な発展を目指すことが出来る
・顧問契約を結ぶことで困りごとについてのアドバイスや相談を受けることが出来る
など、運送事業者様にとって様々なメリットがあります。
さらに、弊所は数ある行政書士事務所のなかでも運送業を専門に取り扱っている行政書士事務所であり、元ドライバーである行政書士が貴社の運送業経営を徹底サポートいたします!
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