【貨物】運送業認可申請、届出はどんなときに必要?詳しく解説!
運送業を長く続けていけば、いずれ環境は変わっていくものです。
「認可を受けた車庫より近くで広い駐車場を借りられたからそっちを使おう」
「高齢になったので役員をおりよう」
「業績が伸びてきたので増車しよう」
これらの事由が起こった場合、実は認可申請や届出の手続きが必要です。
この記事ではどのような事由が起きた場合にどのような手続きが必要なのか。
忙しい事業者様にもわかりやすいように事業計画変更時の認可申請と届出について簡潔にまとめてみました。
是非最後までご覧になってください!
目次
申請と届出について
必要な手続きの解説に入る前に、「申請」と「届出」の違いについて軽く説明いたします。
申請や届出はどちらも行政へ提出するものという性質上よく混同されがちですが実は明確に定義が定められていて全く違うものだと理解しておく必要があります。
・申請は行政庁に諾否の応答義務があるもので、許可や不許可などの処分を下す必要があるもの。
・届出は行うだけ完結し効果が発揮されるもので申請と比べ比較的簡易的な手続き。
許可や認可は「申請」に該当し、申請してから処分が下るまである程度の時間がかかります。全てではありませんが「標準処理期間」という処分までの期間の目安を設定してくれていますので、それを参考に計画建て、早めに申請を行いましょう。
「届出」については、事前届出と事後届出がありますので行うタイミングや期限に注意しておきましょう。
事前届出
各営業所に配置する事業用自動車の種別ごとの数
増車減車の届出の際に気を付けるべきポイント
事業計画変更のなかではこの車両数の変更が一番頻繁に行われるものではないでしょうか。
届出について気を付けるべきポイントをみていきましょう。
- 増車の届出に伴い、車庫の収容能力の拡大等事業計画の変更等が必要となる場合、その変更手続を終了していること
- 車両使用停止以上の処分を受けている場合、増車実施予定日において、その処分期間が終了していること
- 事業を遂行するに足る運転者、運行管理者及び整備管理者が確保されていること
- 減車により車両数5両未満にならないこと
- 自社営業所間における車両融通は、短期間あっても当該営業所それぞれにおける増車・減車の手続きをとらせること
以上が気を付けるべきポイントですが、車両数が変更になるだけで車庫の収容能力や運転者や運行管理者などの数まで記入してする必要があるので、いくら届出といっても大変手間がかかるものであることがわかります。
実際に車両数変更を行う際の流れ
- 現状を把握する
- 上記「気を付けるポイント」について適合しているか確認を行う。
- 書類の作成を行う
- 所轄の運輸局等にある書式を活用し、書類の作成を行う。
必要書類についてもHPに記載があります。
- 書類の提出を行う
- 所轄の運輸支局に作成した届出書の提出を行う。
- 車両登録
- 車両の登録を行う。事業用であれば緑ナンバーへの変更を行う。
単に増車を行うだけでも現状把握から書類作成、実際に提出を行う等、大変手間がかかり忙しい事業者様が行うのは非効率です。
弊所ではこれらの届出の代行もしております。お気軽にご利用ください。
増車・減車届出書作成提出代行 | 2万円~ |
車両の登録 | 8千円~(一台当たり) |
車両数変更が認可申請になってしまう場合がある?
この車両数変更、通常は届出なのですが、場合によっては認可申請となってしまうクセモノです。
- 密接な関係を有する者が一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可取消しを受け5年を経過しない者である場合
- 行政処分の累積違反点数が12点以上の営業所における増車
- 申請日前1年間の巡回指導総合評価が「E」評価の増車
- 申請日前3か月以内の事業用自動車数の30%以上になる増車(当該合計が10両以下であるときを除く)
以上のいずれかに該当する場合は通常届出であるはずの車両数変更が認可申請になってしまい認可がおりるまで1~3か月程度かかってしまいます。
巡回指導や処分の違反点数については日々の業務の積み重ねです。
忙しい事業者様は是非運送業業務を取り扱っている行政書士にご相談ください。
事業の休止及び廃止の届出
社長が入院して後継ぎもいないので休止、廃業せざるを得ない。などの場合に届出が必要です。
許可を取得するときにはあれだけ沢山の書類を作成し、
ようやく許可を取得したものですが、終わりは届出するだけで済んでしまうので非常にあっさりしています。
事業の休止か廃止の届出をする場合は
・休止または廃止の届出書
・全車両の減車連絡書
・運行管理者と整備管理者の解任届
を届出なくてはいけません。
その他、車両も緑ナンバーではなくなってしまうのでナンバー変更についての手続きも行います。
休止できる期間は1年間で以降休止期間を延長したい場合は再度届出する必要があります。
事後届出
これから説明する事後届け出は、登記と内容が重複しています。
登記の変更は忘れずに行う方が多いですが、運輸支局への届出も忘れずに行わないと、巡回指導や監査の際に指摘を受けてしまいます。
変更があった際には忘れずに届出を行いましょう。
主たる事務所の変更
主たる事務所の位置は法人登記簿謄本上の本店所在地に記載されている内容にしている事業者が多いです。
変更が生じた場合は届出の必要があります。
氏名・名称又は住所の変更
個人事業主の場合は氏名が変更になった。
法人の場合は法人名が変更になった。
住所が変更になった場合に届出る必要があります。
役員の変更
役員が変更になった場合、事後の届出が必要になります。
すでに退職しているが、役員の変更届を出す必要があるなんて知らなかった!という事業者様も多いですので登記だけでなく忘れずに運輸支局にも届出を行いましょう。
認可申請
認可申請は先述した通り届出とは違うもので、申請から2か月程度かかるのが通常です。
営業所 新設・移転
営業所を増やす。営業所を移転する。といった場合に認可申請が必要となります。
営業所新設や移転の認可申請は、新規許可申請時と同じ要件を満たす必要がありとても大変な手続きになります。
1.使用権原を有することの裏付け
自己所有の場合→登記簿謄本等
借入の場合→契約期間2年以上となっている賃貸借契約書など
2.農地法、都市計画法、建築基準法などの関係法令に抵触しない
市街化調整区域、住居専用地域、地目が農地などの場合は担当の役所へ問いあわせるか、運送業専門の行政書士に相談することをおすすめします。
3.規模が適切
面積にきまりはありませんがあまりに狭すぎる場合などは指摘を受けるかもしれません。
4.必要な備品を備えるなど業務遂行上適切である
アルコールチェッカーやパソコンや机、椅子など最低限の備品を備える必要があります。
その他、営業所を変更した場合車検証上の本拠の位置が変更になるため、併せて手続きが必要なことと、
車庫との距離が10km以内(東京都特別区と横浜、川崎の場合20km以内)である必要があるので移転の際は注意が必要です。
休憩・睡眠施設 新設・移転
こちらも営業所と同様、新設や移転をする場合には新規許可申請時に求められた要件を満たす必要があります。
1.使用権原を有することの裏付け
自己所有の場合→登記簿謄本等
借入の場合→契約期間2年以上となっている賃貸借契約書など
2.農地法、都市計画法、建築基準法などの関係法令に抵触しない
営業所と同様です。
3.有効に利用できる適切な施設
空間はあるが、イスすらない等有効に利用できるといえない場合指摘を受けます。
4.睡眠を与える必要がある場合は乗務員1人当たり2.5㎡以上の広さを確保する
運行計画によりますが、睡眠を与える必要がある場合は確保が必要です。
5.営業所または車庫に併設(車庫に併設する場合、休憩睡眠施設を設けていない別の車庫との距離が10km(東京都特別区、横浜、川崎は20km)以内になることが求められます)
営業所に併設されることが多いでしょうが、車庫に併設の場合はカッコ書きの内容に注意してください。
自動車車庫 新設・移転
車庫の新設・移転についても新規許可申請時に求められた要件を満たす必要があります。
1.使用権原を有することの裏付け
自己所有の場合→登記簿謄本等
借入の場合→契約期間2年以上となっている賃貸借契約書など
2.農地法、都市計画法、建築基準法などの関係法令に抵触しない
屋根を設置しない場合は営業所と違って市街化調整区域でも認められます。
3.原則営業所に併設(併設でない場合は営業所との距離が10km(東京都特別区、横浜、川崎は20km)以内)
原則営業所に併設とありますが、車庫選びの大変さを理解してくれているので設定されている距離内であれば認められます。
4.車庫と車両の境界及び相互間の間隔を50cm以上確保した状態で全車両を収容できる広さ
車庫と車両、車両と車両の間隔が50cm以上確保されている必要があります。
後々増車も考えているようであれば、あらかじめ広めの車庫を確保しておきましょう。
5.他の用途に使用される部分と明確に区画してある
明確に区画とありますが、簡易的にロープや柵などを設置することでも認められます。
6.車両が車庫へ出入りすることに支障がなく、前面道路との関係において車両制限令に抵触しない
毎回車両の出入りで切り返しを行わなければならないとなれば安全上問題があります。
さらに使用する車両が車両制限令にひっかかり前面道路を通行できないような状態では、そもそも車両が道路に出られないことになるので当然認められません。
利用運送を 行う・行わない
ここでいう利用運送とは貨物自動車利用運送であり、
水屋と呼ばれる第一種利用運送事業のことではありません。
↓利用運送事業の概要はこちら↓
貨物自動車利用運送をこれから認可を受け開始する場合
・保管施設の面積構造及び付属設備を記載した書類
・利用する事業者との運送に関する契約書の写し
といった書類準備も必要になるので計画的に準備を進めていきましょう。
貨物自動車利用運送と第一種利用運送事業の違い
貨物自動者利用運送と第一種利用運送事業の一番大きな違いは
根拠法令が違うということが第一に挙げられることが多いですが、少々説明が複雑になりますので
わかりやすいなるべくわかりやすく説明させていただきます。
貨物自動車利用運送
・緑ナンバー事業者でないと行えない
・下請けに仕事を振る際に貨物自動車利用運送をするという意思表示が必要(新規許可時または変更認可申請を行う必要がある)
第一種利用運送事業
・自社で車両を所有していなくても登録を受けることが出来る。
・緑ナンバー事業者が下請けで処理しきれない案件がある場合などに水屋さんに頼むことがありますが、その時は第一種利用運送事業登録を受ける必要がある。
第一種利用運送事業は自社で車両を所有していなくても起業が出来る点、仕事量が増えて仕事がさばききれない時などに有効です。
緑ナンバー事業者様でも万が一に備え登録を受ける方が増えていますので一度検討してみてはいかがでしょうか?
まとめ
以上、事業計画変更時の認可申請と届出について解説してきましたがいかがだったでしょうか?
運送事業を経営していくには多くの関係法令を理解し、遵守してくことが大切です。
1つの事業計画について変更があった場合、「変更箇所だけ申請や届出をすればいい」という考えでは必ず齟齬が生じ、巡回指導や監査時に指摘を受けたり処分を受けることに繋がりかねません。
弊所は数ある行政書士事務所の中でも運送業を専門に取り扱っている行政書士事務所ですので、帳票類管理や事業計画の変更があった場合の認可申請や届出など、適法化へのサポートも取り扱っています。
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