【貨物】ドライバーへ行う教育法定12項目について解説!【義務】
こんな方にオススメ!
「教育について巡回指導で指摘をうけたけどどうすればいいんだろう…」
「ドライバー指導は具体的にどう行えばいいんだろう…」
「教育記録はどういうものをつくればいいんだろう…」
あなたはドライバーに行わなわなくてはならない教育「法定12項目」についてご存じでしょうか?
事業者が自社のドライバーに対して教育を行うべき根拠は貨物自動車輸送安全規則内に定められており
もし仮にこの教育・指導を怠った場合は巡回指導や監査で指摘を受け対応を怠った場合は処分の対象にもなりかねません。
運輸業界における安全や効率性の向上は、事業者のみならず国や行政にとっても重要なことであり、その中心となるドライバーへの教育を怠ることは認められないということでしょう。
ですが、実際に教育を行おうとした事業者様がその教育の内容について知らないことには教育の施しようがありません。
本記事では、運送事業者が行うべき「ドライバーに対する法定教育12項目」に焦点を当てていますが、教育内容の詳細については一切解説しておりません。(教育内容については詳しい資料が各機関から出ている。量が膨大になる等の理由です。)
代わりに最低限抑えておくべき知識であったり、実際に行うにはどうすればいいのかなど事業者様にとって実用性のある内容のみ記載しています。
「これから頑張って改善したい」「もっと会社を良くしていきたい」といった気概のある運送事業者様や運行管理者様は是非最後までお付き合いください!
教育対象者
ドライバーに対して行うべき教育・指導は大きく「一般的な指導及び監督」と「特定の運転者に対する特別な指導」の2つにわけることができます。
「一般的な指導及び監督」は全ドライバーに対し行うべき教育とされ、1年の間に12項目の教育を行うもの
「特定の運転者に対する特別な指導」は一定の条件に該当したドライバーにのみ行う教育です。
この記事で解説する法定12項目教育は前者の「一般的な指導及び監督」に該当し、教育対象者は全ドライバーということになります。
↓「特定の運転者に対する特別な指導」について詳細はこちら↓
教育の実施
教育の内容
ドライバーに対する法定教育は以下の12項目で構成されています。
- トラックを運転する場合の心構え
- トラックの運行の安全を確保するために遵守すべき基本的事項
- トラックの構造上の特性
- 貨物の正しい積載方法
- 過積載の危険性
- 危険物を運搬する場合に留意すべき事項
- 適切な運行の経路及び当該経路における道路及び交通の状況
- 危険の予測及び回避並びに緊急時における対応方法
- 運転者の運転適性に応じた安全運転
- 交通事故に関わる運転者の生理的及び心理的要因とこれらへの対処方法
- 健康管理の重要性
- 安全性の向上を図るための装置を備えるトラックの適切な運転方法
自社で教育を行う場合
実際に自社で「一般的な指導及び監督」の12項目について教育を行おうとした場合、資料も何もなしに教育を実施するのは特殊な場合を除き、大概は困難でしょう。
自社で教育を行う際の資料の用意は内容の充実度や信頼性などの観点から、国土交通省やトラック協会が提供している資料を活用してみることをおススメします。
全日本トラック協会
「事業用トラックドライバー研修テキスト」
こちらは購入料金がかかりますが法定12項目を10分冊で網羅してあるので非常に内容の充実したものになっています。
自社で実際に行う際のポイントとして、月に一度まとめて教育を行える環境を作れるかがあげられます。
この時不参加となってしまったドライバーについても教育の義務はありますので、後日改めて行わなくてはなりません。効率よく行うためにはスケジュールを組み計画的に行うことが大切です。
外部に委託する場合
費用がかかることを恐れて自社で行う事業者様もいらっしゃいますが、全員に配布する資料代や講師となる従業員の人件費(準備にも膨大な時間が必要)など多くのコストがかかります。
手間や時間が大幅に削減でき、その時間本業に専念することで利益があがり手間も減るという点で外部委託するメリットは十分あります。
教育を行っている企業や機関は沢山ありますがおすすめを紹介します。
物流コンサルの専門家が多数所属
運転者教育の他にも運送事業経営についてのコンサル等行っているため、会社の発展にも貢献してくれます。
関東に営業所を構えている事業者様にオススメです。
教育記録作成
国土交通省からの告示にはこのように記載があります。
貨物自動車運送事業の用に供する事業用自動車(以下単に「事業用 自動車」という。)の運転者に対する指導及び監督を毎年実施し、その日時、場所及び内容並びに指導及 び監督を行った者及び受けた者を記録し、かつ、その記録を営業所において3年間保存するものとする。
つまり、教育を行うだけでは足りず、記録を作成し、作成した教育記録を3年間保存する必要があります。
教育記録を作成する場合、東京都トラック協会が教育記録のテンプレートを公開してくれていますので、実際に自社で作成してみようといった場合は、記入例を参考にして頂くことをおススメ致します。
東京都トラック協会 事業者が乗務員に対して行う一般的な指導及び監督の指針
↓無料相談はこちらから↓
行わなかった場合の罰則
法定12項目の教育を行わなかった場合、巡回指導や監査で指摘を受けてしまいます。
巡回指導での指摘
令和4年に神奈川県で行われた巡回指導の指摘項目ワースト10によると「乗務員への指導監督」はワースト6位であり、さらにこの項目は巡回指導の重点項目にも指定されています。
仮にこの重点項目で否判定を受けた場合、A~Eまである巡回指導評価が1段階下げられてしまいます。(例えば通常C評価を貰えるはずだった場合D評価に下げられてしまう)
DまたはE評価を受けた場合
・改善報告書を3か月以内に作成提出しなくてはならない
・改善報告書を出したとしても半年後に再度巡回指導が確定
・改善報告書を提出しなかった場合運輸支局に通報され、監査が訪れる
・届出で済むはずの増車が認可申請になってしまう(E評価の場合)
などの問題が発生してしまいます。
そうならないためにも日頃からコンプライアンスに配慮した経営を行うことが大切です。
監査での指摘
もし仮に通報があったり、事故をきっかけに監査が来てしまった場合は覚悟しましょう。
関東運輸局のホームページに行われた処分一覧が公表されているのですが、そこを見て頂ければわかる通り多くの事業者が指摘を受けている状況です。
指導及び監督違反
初回 | 2回目 | |
---|---|---|
一部不適切(指導監督告示の実施状況が2分の1以上である場合) | 警告 | 10日車 |
大部分不適切(指導監督告示の実施状況が2分の1未満 である場合) | 10日車 | 20日車 |
記録の作成・保存
初回 | 2回目 | |
---|---|---|
一部記録なし又は記録の一部保存なし | 警告 | 10日車 |
全て記録なし又は記録の全て保存なし | 40日車 | 80日車 |
記載事項等の不備 | 警告 | 10日車 |
記録の改ざん・不実記載 | 60日車 | 80日車 |
表を見て頂ければわかる通り、「指導及び監督違反」「記録の作成・保存」の2つに分けて設定されています。
仮に指導を行っていない場合、記録の作成もしていないでしょうから2つに違反することになってしまいます。
そして一番重い処分が記録改ざん・不実の記載です。初回でも60日車です。帳票類の改ざんは絶対にやめてください。
まとめ
運送事業者の皆様には、ドライバーへの教育の徹底が求められています。
この12項目の教育を行うことは面倒であったりコストがかかり厄介だと感じる事業者様もいらっしゃるかもしれません。ですが、法律で実施が定められているのでどっちにしろ行わなくてはならないものなのです。
どうせ行うならしっかりとした教育を行い、ドライバーの安全と社会貢献の両立を実現してみませんか?
また、教育の実施は社会的責任でもあります。運送事業者としての信頼と評価を高めるためにも、適切な教育の実施を心がけてください。
しかし、そうはいっても現実的には忙しい事業者様がこれらのコンプライアンスの徹底を行うことは困難であるというのが実情です。
そこでオススメなのが行政書士の利用です。
行政書士を利用することで
・事業者様が本業に専念して頂くことにより利益を上げることが出来る
・事業者様の勉強時間や手間を削減し、かつ確実な手続きを実現
・コンプライアンスについてサポートを受けることで事業の安定的かつ持続的な発展を目指すことが出来る
・顧問契約を結ぶことで困りごとについてのアドバイスや相談を受けることが出来る
など、運送事業者様にとって様々なメリットがあります。
さらに、弊所は数ある行政書士事務所のなかでも運送業を専門に取り扱っている行政書士事務所であり、元ドライバーである行政書士が貴社の運送業経営を徹底サポートいたします!
帳票類管理や事業計画の変更があった場合の認可申請や届出など、適法化へのサポートも取り扱っていますので
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